台湾の音楽事情

ここ数日台湾の音楽を貪ってます。原因は落差草原WWWWの『盤』を手に入れてテンション上がってそのまま色々漁ってる感じ。

 

ほんのちょっと齧った程度ですが、適当に書いてみようと思います。

 

 

おそらく僕と同じ流れで台湾の音楽シーンに興味を持ってる人は少なからず存在すると思います。

Battles「Sugarfoot ft. Jon Anderson & Prairie WWWW」で落差草原WWWWを知って彼等の音楽をディグってそのままズブズブ落ちていった流れ。

実験音楽(エクスペリメンタル)が好きな人間はだいたい落ちるんじゃないでしょうか。

この曲だけでもBattles、ボーカルに元YESのジョン・アンダーソン、イントロに落差草原WWWW、MV製作はAC部と国境ごった煮なので魅力満点。

 

 

簡単に紹介すると、落差草原WWWW(Prairie WWWW)は台湾台北発のエクスペリメンタルバンド。特徴としては民族的な楽器やリズムを取り入れつつ、サイケやアンビエント的なサウンドを展開したバンド・ミュージックです。

個人的にはドラムとパーカッションの二人が出す複雑かつ快感なリズムの構築がドンピシャでハマりました。

 

 

現在CDで販売されている『盤』については日本盤が展開されており、世田谷のBIG ROMANTIC RECORDS直販のみで販売されています。

世界的な知名度はあれど、なかなか販路拡大が難しいのでしょう。国内盤について紹介するメディアもあんまりない。

欧米圏での購入はBandcampがメインのようです。日本人でBandcamp使ってるのは少数派なのでなかなか厳しい。ついでにBandcampで販売しているCDについては売切状態。

 

昨年10月発売の最新作『黑夢 Formosan Dream』はデジタルオンリーで販売されています。


発売の3日後に公開された公式Live Sessionも非常に良い。

 

購入しなくてもSpotifyとかで普通に聴けます。

 

 

過去作の円盤での入手性は結構難易度高めだと思います。Discogs見ても発売レーベルがごちゃごちゃですし、どういう経路で販売されていたかも不明。CDだったりLPだったりわちゃわちゃしてます。デジタル音源であればBandcampでワンクリックで買えますが。

 

と、落差草原WWWWの紹介になりましたがクオリティ:高、価格設定:低、知名度:低、販路:微妙というのが難しいですね。

台湾というお国柄もありますが、なかなか国際的なレーベルと契約するのも難しいのかもしれないですね。それこそWarpとか。

  


 

ここから本題。日本で言うゴールドディスク大賞的なやつが台湾にもあって、金音創作獎(通称GIMA)という音楽賞なのですが、これを流し見してるだけでも結構面白いんです。公式から色々アップロードされてるので今日はずっと見てた。

 

2019年





2020年





2019年の第十回で、落差草原WWWWがベストライブパフォーマンス賞と審査員賞(しかも東京事変亀田誠治氏が審査員の1人)取ってたのでそこから見始めたのですが、どのジャンルも面白い。受賞作品ももちろん、ノミネート作品も優れたものがたくさん。

 

メタルだと、有名なバンドにChthoniC(閃靈樂團)とか、Seraphim(六翼天使)とかは有名ですが、2019年にオープニングで演奏してるFLESH JUICER(血肉果汁機)はかなり面白い。

 

 

玉音放送使うのは初見時流石に爆笑しましたね。いいぞもっとやれ。)

 



 

エレクトロニカやジャズでもいいミュージシャンがたくさんいますね。気になったものいくつか。

 

 

 

 

2020年はビルボードジャパンでもイベントレポートが書かれてます。

 

単純に台湾音楽シーンを知れるのと同時に、金音創作獎という音楽賞が商業的な偏り(セールス重視)が薄く、インディーズをメインにしつつ、純粋に音楽的良し悪しで評価されているのが良いですね。審査員が誰なのかも公開されず、かなり公平性も高いように思えます。

 

一応、商業的な金曲獎という別の音楽賞もあり、これはこれで見応えはあります。

 

 

 

2020年の特別パフォーマンスなのかこんな動画も金音創作獎のチャンネルからアップされてました。2020年から同時開催された「亞洲音樂大賞」というLIVEイベントの一環のようです。

 

 

 

ここ数日のニュースを見ていると、相変わらず台湾の国際事情は大変そうです。中国から「パイナップルの輸入停止」がなされ、台湾総統がパイナップルを食べよう運動をしていたり。それでなくても「一つの中国」問題が日本でも燃えるくらいですから、現地は更に厳しい状態にあります。

台湾音楽をディグるのも、結局音楽賞から入っている分、アングラ的な音楽まではたどり着くのは少し難しそう。落差草原WWWWでもセールス的には優れているとは言い難いですしね。

音楽ストリーミング、デジタル販売でグローバルマーケティングがやりやすいとはいえ、実際に音楽だけで食えているかというと食えていないようです。本職は別にあることをインタビューなんかで言ってますね。

 

 

日本のインディーズシーンもなかなか厳しい状況にあります。コロナで拍車がかかっているものの、場所はまだギリギリ生きていることもあり、今後どうなるかまだ読めない。

それ以上に台湾の音楽はどうしても社会問題が避けて通れない以上、それを逆手に取るバンドは応援したくなります。ちなみに台湾はSARS感染症対策に慣れているためかコロナ対応はかなり迅速に動いているとか。

 

日本から行きやすい国ですし、いつかは行ってみたいですね。

ただ観光するだけでなく、レコードショップ巡りしたい。尖ったレコードショップが多数あるようです。先行一車、WAITING ROOMといったレコードショップが有名だそう。

レコードショップ巡りのブログとか見てるだけでもいいな~ってなる。

 

ノイズミュージックもしっかり強い。実験音楽へのアプローチもしっかりしていていいですね。どの国でも一定数好きな人はいるもんです。

ノイズミュージックじゃ食えないのは万国共通っぽいですが。


 

別ベクトルでぶっとんでるミュージシャンもちらほら。あるブログで見かけたジャケがめっちゃえっち。

鬼畜少女組、あまり情報がないのと、検索するとPornhubがヒットしちゃうのでそのうちディグる。

 

 

ここ数日で聴いてた、ディグってた音楽はこんな感じです。まだまだ奥は深いですね。

アジアの中でも台湾音楽は要注目です。商業的な強みが薄い分生まれる音楽は純粋に音楽史的文脈に基づいて優れたものが多い印象を受けます。

金音創作獎見てても流行りはヒップホップのようですが、これは個人的に興味がないのですっ飛ばしてます。好きな人が見たらなにかピンとくるのでしょうね。

金音創作獎では2020年からベストアジアアーティスト賞が新設されたこともあり、今後の注目度が上がると思われます。ちなみに日本人ノミネート者もいましたが受賞はインドネシアのRich Brian『The Sailor』。

YoutubeTwitterを見ていてもまだまだ注目度は低めではありますが、もっと流通経路や情報経路が開拓されれば一気に出てくると思います。アジア圏のアンチ商業的音楽の中心が台湾になってもおかしくはない。日本のレーベルにそんなやる気ないですし。

 

今後が楽しみですし、過去の作品についても地道に見つけていきたいですね。