昨日の晩に某氏とメタル談義してて、アンプ等の機材の歴史がメタルサウンドに一つの影響を与えているという仮説を話してたりしてたんですが、その某氏を釣れるかなとツイートをタイムラインにぶん投げてみたところ…。
最近書いてないミュージシャンの機材解説記事書こうかなぁと思ったもののネタがビリー・シーンくらいしかない
— あかね (@smoke_akane) 2021年2月7日
他にいいネタないかね
スティーブハリス
— もう30歳の赤鷹 (@redhawk666) 2021年2月7日
1分で釣れました。というわけでIRON MAIDENのベーシスト、スティーブ・ハリスの機材を見てみる試みです。
BGMはこれで。
とは言っても、スティーブ・ハリスの機材って凄くシンプルなんですよね…。
なので、彼のサウンドに焦点を当てて見てみたいと思います。そこまで歪んでるわけでもなく、けどブライトで力強いサウンドに。
とりあえず現行の使用機材をさらっと紹介。
・ベース
プレシジョンベースなのでジャズベースと違って年代で仕様がどうのこうのということもなくベーシックにプレベです。
シグネイチャーモデルが現在も発売されてるので仕様を解説するのも上の記事を見ればまぁ一目瞭然。なので特徴だけさらっと。
まず搭載されているピックアップですが、セイモア・ダンカンのシグネイチャーモデル。
シグネイチャーピックアップが発売される以前は同社のPSB-1を使用していたようです。どちらにせよオリジナルと比べたらセイモア・ダンカンらしいミッドの強化がなされたビンテージライクなサウンドと言えるんじゃないでしょうか。
そしてユニークで特徴的なのは弦ですね。これもまたシグネイチャーモデル。
ベースの弦は、現在でこそ主流は触るとザラザラしたラウンドワウンド弦ですが、彼は表面つるつるのフラットワウンド弦を使用しています。
ラウンドワウンドは高音寄りでバキバキサウンド、フラットワウンドは低音寄りでモコモコサウンドです。弦の歴史で見ればメイデンの結成時には既にラウンドワウンド弦は存在してて一般化してるはずですが、ザラザラした弦に触れるときに出るフィンガーノイズを嫌ってフラットワウンドにしてるとかなんとか。
フラットワウンド+通常よりも太いゲージ設定に加え、ユニークなのが原材料。
ベース弦原材料は大体2つに別れます。オーソドックスなニッケルと、ブライトサウンドなステンレス。
シグネイチャーモデルのメーカーROTOSOUNDはステンレス弦で有名なメーカーなんですが、スティーブ・ハリスモデルのページを見てみると原材料に「モネル・フラットワウンド」とあります。
Steve Harris Custom Flatwound | 50-110 • Rotosound Music Strings
モネルとはなんぞやと調べてみると、ニッケルと銅の合金だそうです。更に中心となる芯線にはステンレスが使用されているとのこと。
これをライブ毎に張り替えてるそうで、「新品バギバギでステンレス寄りのブライトな極太フラットワウンド」がサウンドの肝ですね。正直想像つかない。
ほかにベース本体に追加されているのはバダスタイプのブリッジ。これはよくあるカスタムですね。弦の振動を逃さず、サスティーンを殺さないためのブリッジ交換。
そして2つのつまみはボリュームと「ダミーポット」。通常はピックアップで拾った音はボリュームポット、トーンポットを通って出力されますが、トーンポットを介さずボリュームから直に出力することで高音域を逃さないようにされてます。
それ以外には特徴が本当にない。プレシジョンベースで、20フレットのメイプルネック、メイプルボディ、パーツは70年代ライク、ミラーピックガード。
上記以外にも様々なベースを使用していますが、基本的にはプレベモチーフで変わらないようです。
・アンプ&エフェクター
Orange社が「スティーブ・ハリスがうちの4-stroke使ってくれるよ~」というFacebook記事があるのですが、ちょこちょこ変えてるようです。
Orangeのアンプなので、ミッドの出が強く、またEQもそれに寄せて使っているであろうことは想像できますが、アンペグだったりHIWATTだったり、個人工房だったり色々な説が出てますね。
キャビネットは昔のインタビューではマーシャルの12インチ4発を使っているといった記載がありますが、現在どうなのかは微妙です。
ただ、キャビ内のスピーカーについては多くインタビューでも語っているようで、ElectroVoice社のスピーカーに交換されているようです。型番までは特定できていないようですが。
エフェクターについては基本的には使わないというのをモットーとしていたようですが、昨年にシグネイチャーモデルが発売されています。
ただエフェクターというほどサウンドに変化を与えるものでなく、どちらかというと先述のアンプの代替として開発されたのではないかと思われます。
実際このシグネイチャーモデルへのコメントに「EVスピーカーのサウンドをシミュレートしてくれた」とありますし、機能としてはDI・チューナー・4bandEQ・スピーカーシミュレーター・2つのゲインというアンプの機能そのものです。
どうやら2019年に試作され、そのまま2020年に発売されたようなので、アンプとスピーカーをなくしてLINEのみにするために作られたのではないかと予想できます。
製品紹介ビデオ見てみると凄くいいですねこれ。オールジャンルに使えます。
唯一特徴的なサウンドはBITEスイッチというブーストスイッチ。ただ紹介動画を見ていてもどんな感じなのかはイマイチ掴みきれてないです。
以上の他にイコライザーとコンプレッサーがあるよ~といった書き込みを海外掲示板で見ることができますが、実際はどうかなんとも言えません。
ここまでがスティーブ・ハリスの機材で分かる範囲です。1時間ちょっとで調べただけなのでこの程度が限界。かなり原音にフォーカスした上で徹底的に無駄を省いた機材です。
この他にサウンドに影響を与えている要因としてはプレイスタイルくらいでしょう。
基本的には2フィンガー奏法、時々親指弾きも織り交ぜたり。
2フィンガー奏法時に、通常ピックアップの上を弾くようにするのがセオリーですが、彼は少し下、ブリッジ寄りで弾いています。これにより出音が硬めで出る。つま弾く強さもそこまで力んでるようには見えないので、この程度の考察までです。
・まとめ
スティーブ・ハリスサウンドのサウンドの考察まとめとしてはこんなふうにまとめたらいいでしょうか。
余計な音が出ない好みのフラットワウンドを主軸に、メタルサウンドに合わせるために中音域が強く出るようカスタムされたプレシジョンベースと、ハイ寄りにチューニングされたスピーカーの出音を調節するためのEQとアンプによる超ブライトサウンド。
2019年以降については機材の縮小を目的にマルチエフェクターによるDIアウトを採用。
参考は各メーカー出典及び以下。
しっかしスティーブ・ハリスモデルのエフェクター本当にいいなぁ…。
こっからはちょっとした余談。
調べてる最中にロトサウンドの日本HP見ようとしたらHPがなくなっていて、何事かと調べたらこれまで代理店をやっていたパール楽器から神田商会に移行したようですね。
自分もロトサウンドの弦愛用してて、RS66LDとSM66を竿で分けて使ってるのですが、SM66がサウンドハウス上だと販売終了になってるんですよね…。割と困る。
6弦もバリトンギターチューニングのために8弦を取り寄せたりしてるのですが、このあたりが滞ると更に困る。
2月1日から神田商会が代理店となったようなので今後体制が整ったらSM66含め色々買うことができるようになればいいのですが。ついでに代理店変わったからといって値上げはしないで…。